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最高裁判所第一小法廷 平成2年(行ツ)90号 判決

東京中央区八重洲二丁目六番四号

上告人

大日本不動産株式会社

右代表者代表取締役

松岡源之真

右訴訟代理人弁護士

穴水広真

東京都中央区新富二丁目六番一号

被上告人

京橋税務署長

佐藤秀一郎

右当事者間の東京高等裁判所平成元年(行コ)第九一号法人税決定処分取消請求事件について、同裁判所が平成二年三月二二日言い渡した判決に対し、上告人から全部破棄を求める旨の上告の申立があった。よって、当裁判所は次のとおり判決する。

主文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理由

上告代理人穴水広真の上告理由について

所論の点に関する原審の認定判断は、原判決挙示の証拠関係に照らし、正当として是認することができ、その過程に所論の違法はない。論旨は、採用することができない。

よって、行政事件訴訟法七条、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 大掘誠一 裁判官 角田禮次郎 裁判官 大内恒夫 裁判官 四ツ谷巌 裁判官 橋元四郎平)

(平成二年(行ツ)第九〇号 上告人 大日本不動産株式会社)

上告代理人穴水広真の上告理由

原判決は、判決に影響を及ぼすこと明らかな審理不尽・理由不備の違法があり、破棄されるべきである。

すなはち、損金の額に含まれるべき諸費用の額を算定するにあたっていわゆる「同業者率」を用いて行う手法は、その実際に支出した額を算定できる資料がない場合に限って使われるべきものであるところ、原判決は、上告人が従業員に対して実際に支払った給料手当の明細を明らかにし、これを損金の額に加算すべきことを主張しかつ立証したのにかかわらず、その存否の判断をすることなく、被上告人の主張する同業者率、つまり従業者に対する給料手当を含めて算出された率をそのまま採用しており、この点において違法というべく、その違法は判決に影響を及ぼすことが明らかである。

以上

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